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茶の種類

清香花楼:/Tag:茶の種類

陸羽の時代の茶の種類 「餅茶」について

陸羽の「茶経」を読む、第7回目です。

今回は、第6章第3節の前半をもとに、陸羽の時代の茶の種類について

できるだけ簡略にまとめたいと思います。

「飲茶には粗茶・散茶・末茶・餅茶がある。

(粗茶は)切って作り、(散茶は)炒って作り、(末茶は)焙り、(餅茶は)臼づく。」

(引用元:布目潮渢「茶経詳解」淡交社 160ページ 一部字体等変更)

粗茶、散茶、末茶、餅茶の4種類があるとのことなのですが、

実際に「茶経」の中で陸羽が評価し、大いに語っているのは、餅茶についてです。

「茶経」の中の製茶道具(第2章)、製茶法(第3章)、茶器(第4章)、

茶の煮立て方(第5章)など、すべて餅茶を基準に書かれています。

その他の粗茶、散茶、末茶については、

「茶経」においては、残念なこととに、詳細に書かれていません。

なので、布目さんの解説でも、この3種については、

「茶経」以外の文典や習俗の研究から、

おおよその意味が仮説のような形で差し出されているだけです。

「粗茶・・茶の葉を摘まないで、枝ごと取り、そのままあぶって葉を湯に入れ

沸騰させて飲む、もっとも原始的な飲み方ではなかろうか。」

「散茶・・散はばらばらになったもので、ここでは葉茶を指すとしたい。

採茶された葉を火乾しただけの葉茶であろう。」

「末茶・・末は粉末の意にも用いる。煬は乾燥を主にした短時間の火乾とみなしたい。

茶採みした葉を火で乾燥して粉末にするのであろう。」

(同上、161-162ページより引用、編集)

「ではなかろうか」「を指すとしたい」「であろう」「とみなしたい」等

いずれも文意を断定する強い言葉ではなくて、

仮説、推測、あるいは問題提起としての軽い結語となっています。

この中でも、あくまで推察ではあるのですが、

散茶は、現代の一般的な中国茶(散茶茶葉)の原型とも言えますし、

末茶は、日本の抹茶(但し蒸して乾燥)の原型とも言えるでしょう。

それでは、陸羽の勧める「餅茶」とは、どんなお茶なのでしょうか?

餅茶というと、現代でも、円盤の形をしたプーアール茶のことを

餅茶ということがあります。(雲南七子餅茶など)

なので、イメージとしては、この固められた茶のことを思い浮かべます。

もちろん、雲南七子餅茶と唐の餅茶には製法で大きな違いがあり、

また、大きさや形状でも違いがあります。

陸羽の時代の餅茶は、銅銭ほどの大きさだったようで、

円形以外にも、四角や花形、靴のような形、水牛の胸のような形など

様々な形をしていたようです。

ただ、両者ともに、固まった固形のお茶という

その外見上のイメージは類似していると思います。

餅茶の製法については、「茶経」第3章2節にこう要約されています。

「晴れた日に茶採みをし、(こしきで)蒸し、(杵臼で)つき、(承の上で)たたき、

(ほいろで)焙り、(さしに)通し、(育に)封じ、茶は乾燥してできあがる。」

(引用元:布目潮渢「茶経詳解」淡交社 67?68ページ)

晴れた日に茶摘みをするのは、これは現代にも通じることで、

雨や湿気が製茶の妨げになるからだと思われます。

特徴的なのは、蒸す工程です。(現代の中国茶に蒸し茶はありません。)

以下、布目さんの解説を基に、餅茶の製法を

簡略にまとめてみます。

1、木製のせいろか素焼き製のこしきをかまどに泥で塗り固め、

 かご入りの茶葉をこしき(せいろ)の中に入れて、蒸します。

2、蒸し終わったら、杵と臼を使って茶葉をつきます。

3、承という四角い石の台に布を敷いて、

 その上で、鉄製の型枠に入れた茶葉を、たたきながら押し固めます。

4、型押しした固形茶を、竹の皮で編んだふるいに並べ、天日で乾かします。

5、乾いた固形茶に、きりで穴を開けます。

6、竹のくしを固形茶の穴に串刺しにして、

 焙炉(ほいろ)という器具の上で火にあぶります。

7、あぶり終わった固形茶を、竹や木の皮をよじった紐でさし通します。

8、木製二段の育という貯蔵ケースに固形茶を入れます。

 茶は上段にいれ、下段には火桶があり、乾燥器として貯蔵、保存します。

以上です。

この餅茶の製法は、陸羽が新しく考え出したものではなく、

すでに魏晋の時代(陸羽の生まれる200年以上前)から行われていた模様です。

(参考:布目潮渢「中国喫茶文化史」岩波現代文庫 86-87ページ)

布目さんの「茶経詳解」には図版も多く、イメージが湧きます。

例えば、1、の蒸す工程は、昔の家のかまどで米を炊く風景を連想しますし、

6、のあぶりの工程は、まるで焼き鳥を焼くような図柄が掲載されています。

(このブログに転載できずに申し訳ありません。)

しかし、正直なところ「茶経」の記述を読んだだけでは、

当時の餅茶の実体はよく分かりません。

陸羽は餅茶の鑑定として、形状や色ツヤ、

また表面の皺の寄り方など、

主に外見上の判断について書いていたりもするのですが、

その検証の仕様もありません。

布目さん自身も陸羽の餅茶を再現する試みをしていますが、

「全体としてよくわからない」と嘆いてもいます。

ただ、「茶経」を読むにあたっては、

当時の茶が、今の一般的な中国茶(茶葉)とは違い、

蒸して固める固形茶であったということは、

とりあえずの事実として理解しておく必要があるでしょう。

次回は、この餅茶の飲み方について触れたいと思います。

それでは続きは次回で。

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2017-01-17T15:18:38+00:00 December 6th, 2010|Categories: 中国茶ブログぼちぼち日記, 陸羽「茶経」 by ぼちぼち|Tags: , , |

茶経 「飲茶には粗茶・散茶・末茶・餅茶がある。」

陸羽の「茶経」を読む、第6回目です。

今回は、前回に引き続き、第6章第3節から読みたいと思います。

「飲茶には粗茶・散茶・末茶・餅茶がある。

(粗茶は)切って作り、(散茶は)炒って作り、(末茶は)焙り、(餅茶は)臼づく。

瓶缶の中に貯え、湯を注ぐ。これを庵茶(えんちゃ)という。

或いは葱、姜、棗、橘の皮、茱萸(しゅゆ)、薄荷などを用い、これを百沸する。

或いは浮き上がらせて滑らかにしたり、或いは煮て沫を取り去るようなことをするが

これらは溝渠の間の棄水になるだけなのに、このような習俗が止まない。」

(引用元:布目潮渢「茶経詳解」淡交社 160ページ 一部字体等変更)

内容を見ていく前に、先ず、同じ箇所の原文を引用いたします。

「飲有觕茶散茶末茶餅茶者。乃斫。乃熬。乃煬。乃舂。

貯於瓶缶中。以湯沃焉。謂之庵※茶。

或用葱薑棗橘皮茱萸薄訶※之等。煮之百沸。

或揚令滑。或煮去沫。斯溝渠間棄水耳。而習俗不已。」

(引用元:布目潮渢「茶経詳解」淡交社 160ページ 一部字体変更)

※「庵」は、正しくは「疒」。「訶」は、正しくは「くさかんむり」あり。

ここは文意がやや読み取りづらい箇所かもしれません。

一文目においては、当時のお茶の種類を4つあげています。

そして、続く二文目以降は、その4種類の茶のそれぞれの製法を、

動詞一語で簡略に説明しているようです。

・粗茶=「斫」切る

・散茶=「熬」炒る

・末茶=「煬」焙る

・餅茶=「舂」臼でつく

ここに対応関係があることは確かだと思います。

ただ、続くそれ以降の文章は(「瓶缶の中に貯え・・」以降です)

お茶の種類の説明を書いているわけではないようです。

陸羽は、ここで、当時の飲茶のいくつかの習俗を

結語で、「棄て水になるだけ」という言葉で、否定しています。

否定している飲み方は、以下の習俗です。

・瓶や缶に入れた茶にお湯を注ぐ庵茶(えんちゃ)という飲み方

・葱、姜、棗、橘、茱萸(しゅゆ)、薄荷等と混ぜ沸騰させる飲み方

・茶を浮き上がらせて滑らかにする飲み方

・茶を煮て沫を取り除く飲み方

よく読むとわかるのは、冒頭のお茶の種類についての文章と、

それ以降の後半部の、飲茶の習俗を否定している文章は、

わけて考える必要があるだろう、ということです。

粗茶/切る=お湯を注ぐ庵茶

散茶/炒る=葱、姜、棗等を混ぜ沸騰させる・・

・・・・

という風に、もし前半と後半で対応関係があると思って読んでしまうと

一つひとつの言葉の意味のつかみ辛さも相まって、

一体なにが書いてるのかわからなくなってしまいます。

(というか、はじめ私がそう読んで混乱しただけかもしれませんが、、)

(お茶の種類について)

「飲茶には粗茶・散茶・末茶・餅茶がある。

(粗茶は)切って作り、(散茶は)炒って作り、(末茶は)焙り、(餅茶は)臼づく。」

——————————————————————————————–

(習俗の否定)

「瓶缶の中に貯え、湯を注ぐ。これを庵茶(えんちゃ)という。

或いは葱、姜、棗、橘の皮、茱萸(しゅゆ)、薄荷などを用い、これを百沸する。

或いは浮き上がらせて滑らかにしたり、或いは煮て沫を取り去るようなことをするが

これらは溝渠の間の棄水になるだけなのに、このような習俗が止まない。」

(引用元:布目潮渢「茶経詳解」淡交社 160ページ 一部字体等変更)

この節は、以上のように、主旨を二つにわけて読みます。

前置きが長くなってしまいました。

次回は、お茶の種類について触れたいと思います。

それでは続きは次回で。

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